2018年2月18日日曜日

美術 : 河原温(ON KAWARA)「死仮面」


河原温(ON KAWARA)「死仮面」<PARCO出版>豪華印刷絵画作品集(完品)、1995年12月リリース作品。
梱包サイズ: 45 x 35.4 x 3 cm

*「死仮面」刊行に際して...1955年から56年にかけて制作されたエンピツ画「死仮面」三十点の作品は、シリーズ「日本人の肖像」第一部として、一九五六年五月十一日から五月二十日にかけて東京・神田小川町タケミヤ画廊で十日間展示された。第二部「第三階級」は、未完成のまま今日に至っている。
河原温の日本での活動は一九五二年に始まる。素描連作「浴室」シリーズ(一九五三ー五四)「物置小屋の出来事」シリーズを発表し、画廊に大きな衝撃を与えた。戦後の混乱と動乱の予兆の中で、時代の閉塞感と人間の極限状態を作品化し、人間の実存の意味を世に問いかけた作品群は、日本前衛美術の中に大きな痕跡を残している。
「死仮面」は日本で発表された最後の素描連作である。「死仮面」と題された三十人の首頭像は、不気味な笑みを浮かべて、しかし奇妙な安定感をもって見るものを見つめ返している。「死」の仮面を被ったこれらの肖像は、あらゆる「生」の概念から解き放たれ、無限の「死」の世界でのみ、生き続けるかのようである。
形ある「生」の存続性を反問し、「死」の意識を覚醒させた作家が発した問いは、戦後五十年の激しい社会・経済の変動を経た今日、初めてその真の意味を解き明かすことをわれわれに迫って止まない。

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